2019/3/8 名古屋ウィメンズマラソン2019展望D
ヤマダ電機コンビが30km以降の走りでMGC出場権獲得へ
“ゆとり”を持って走る森川スタイルでマラソンでも結果を

 ヤマダ電機からは竹地志帆と石井寿美が「2時間27分以内で確実にMGC(出場権)を取る」(森川賢一監督)目的で出場する。
 竹地は5年連続の名古屋出場で、16年大会で2時間25分29秒の好記録を出した。石井は初マラソンの17年大会で2時間27分35秒で走った選手で、今年1月の大阪国際女子に続いての出場になる。

竹地のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 日本人 記 録
1 2015 3.08 名古屋ウィメンズ 14 10 2.31.18.
2 2016 3.13 名古屋ウィメンズ 7 6 2.25.29.
3 2017 3.12 名古屋ウィメンズ 9 8 2.30.10.
4 2018 3.11 名古屋ウィメンズ 29 24 2.39.46.

石井のマラソン全成績
回数 月日 大会 順位 日本人 記 録
1 2017 3.12 名古屋ウィメンズ 5 4 2.27.35.
2 2019 1.27 大阪国際女子 20 15 2.38.33.

 森川監督の練習スタイルは、選手に大きなストレスをかけないことを基本としてきた。ポイント練習の強度を抑えめにして、選手が意欲的に練習に取り組めるようにする。つなぎのジョッグのスピードも、余裕のある選手はどんどん上げていく。選手が前向きに取り組めるよう、メンタル面の指導にも力を入れている。
 そのスタイルで佛教大を全日本大学女子駅伝の頂点に導き、ヤマダ電機もクイーンズ駅伝上位に定着させた(5年連続入賞中で予選会のプリンセス駅伝は一度も経験していない)。日本選手権でも西原加純が14、15年に10000mで2連勝した。

 強度を基本的に抑えているので、大会(種目)や選手の状態によって、練習を応用する幅を大きくすることもできる。ポイント練習の負荷を上げることも1つの方法で、17年・18年大会の竹地はそこにトライしたが上手くいかなかった。昨年の名古屋では自己ワーストの2時間39分台でしか走れなかった。
 名古屋の17年大会はキルワ(バーレーン)と安藤友香(当時スズキ浜松AC)が2時間21分台を出した年で、初マラソンの石井も先頭集団に食い下がった。10km手前で後れたが、その後単独走になっても粘り2時間27分台でまとめてみせた。

 昨年(18年シーズン)の竹地は、故障にも悩まされた。「6月頃に大転子を痛めて、腰が引けるような走り方になってしまっていました」と森川監督。
「だんだん良くなってクイーンズ駅伝は間に合ったのですが、12月には仙骨を疲労骨折してしまいました」
 それで大阪国際女子出場は見送ったが、昨年中には完治して、名古屋に照準を合わせてトレーニングは順調に積むことができたと。

 そして今年の名古屋に向けては、「2時間25分を出した時の、遅いペースのポイント練習」に変更した。「ヤマダ電機のパターンはそれなので」と、基本に戻った。MGCを獲得することを考えても、3年前のパターンが確実という判断だ。
「竹地は去年よりもはるかに良いので、自信を持っていると思います」

 もう1人の石井は、今年1月の大阪国際女子レース直後に名古屋出場を意思表示した。大阪はマメを作ってしまい、2時間38分33秒と力を出し切れなかった。初マラソンの名古屋でもマメを作っているので、今回はシューズのサイズでマメ対策をしている。
 10000mで31分48秒24のタイムが示すようにもともと、ヤマダ電機では速めの練習ができる選手。2月末の1000mのインターバルでは竹地になんとか粘ってつき、大会4日前の2000mではトラックシーズンと変わらないタイムで走ったという。
「仕上がりは良いですよ」と森川監督は手応えも感じている。

 大阪では先頭集団について失敗したため、名古屋では第2集団につく予定だ。
「どれだけゆとりを持って30kmまで行けるか。ヤマダ電機のスタイルでもある“ゆとり”をもって、きっちりと今の力を発揮することを優先します」
 竹地は2年連続の不調から立て直すための大会で、石井は大阪から立て直すための大会。MGC出場権が取れれば応用を加えていく可能性はあるが、今回はMGCを取るための最善のレースに徹する。


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